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奉仕と自己犠牲〜映画「すずめの戸締まり」を観て思ったこと。

映画「すずめの戸締まり」を観た。
最初はヒロインのすずめと閉じ師の草太とのありがちなラブストーリーかと思ったが、中盤からいろんな人間関係や過去の話が出て来て、観終わった後「なるほどね」と着地した。

この物語の主題は「奉仕と自己犠牲」だと思う。
偶然なのか、「閉じ師」の草太が、前回の記事に書いたカレン・アン・カーペンターの生き様と重なって、胸が痛んだ。


閉じ師として「木よりも森を見る」すなわち「自分だけではなく人や社会のために生きる」草太はクールなイケメンだったが、個人の喜びを放棄しているように見えた。だから草太に惹かれて献身的に協力するすずめとの出会いは運命的だったのだ。

登場キャラクターはアイコニックで、地震を例えた「ミミズ」は人々の心の重さ、「要石」は犠牲、「閉じ師」は奉仕、と私は読んだ。
家業を受け継いで閉じ師の仕事をする草太は、すずめの協力をなかなか受け入れようとしない。ミミズを封じ込める要石にしていたダイジン(猫)の捕獲に一人で挑もうとする。しかし捕獲の失敗を重ねていくうちに、自信を失い、自らが要石となる道を選んでしまう。なぜなら、先祖代々、そのような使命を受け継いできたからだ。

しかしすずめと生きることを受け入れた時に、草太は要石から解き放たれ、現実世界に生還することができた。そして、すずめの愛を得られなかったダイジンは諦めたように要石に戻っていく。


私たちは2種類のつながりを持っている。縦(家、血縁、先祖)と、横(夢、友人、支援者)のつながり。両者は引っ張り合い侵食しながらもバランスをとっている。
この「縦」と「横」は、未来と過去、希望と絶望、愛と欲望、奉仕と犠牲などにも見てとれる。自分で選び取ったはずなのに、人のせいにしたり、大切に育てたものを憎んで忌み嫌ったり、外的な要因によって簡単に裏返り、バランスを崩して、災難や悲劇を起こしてしまう。

そんな人の心の脆さを知り、大事に生きよう、というメッセージがこの映画には込められているような気がした。




物語の中盤で、すずめと同居する叔母が、家出したすずめを心配して探し周り、関東で再会した時に感極まって「あなたを引き取るんじゃなかった!私の人生返してよ!」とすずめを詰る。すずめは傷ついたように「私はついて来てなんて言っていないわ!」と言いかえす。
育んできたものを一瞬で壊してしまう残酷なシーンだった。

その後、叔母は思わず出てしまった言動に恐れ慄いて反省し、すずめを自転車の後ろに乗せながら、「さっきはあんなこと言っちゃったけど、それだけじゃないのよ」と言う。
すずめとの日々の中には、良いことも悪いこともあって、その上で今一緒にいる、というような、この言葉は、この映画の中で最も真実味があり、深く響いた。





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