詩集と画集、ライブペインティングの構想や画材の準備に2ヶ月。アート活動再開の助走のつもりで出展したので、売り上げも集客も期待していなかった。でも、デザフェス以前と以後で、何かが切り替わったような気がする。
私は幅3.6メートル、高さ2.1メートルの壁画を2日間で完成させることに集中にしていた。お客さんの注目度がどれくらいだったかわからないが、画集は売れたし、興味を持ってくれた人、写真を撮ってくれた人もいた。
コロナ明けのデザインフェスタは大繁盛だった。ざわつきに背を向けて絵を描くと、群集と私との間にちょど良い境界ができていて、集中できた。
参加アーティストたちは、通り過ぎる人にフレンドリーに話しかけたり名刺を配ったりしていた。昼間はサラリーマンの人、地方から出てきている人もいる。出展者同士で意気投合し飲みの約束をしている人もいた。
デザインフェスタならではの独特な世界観がひしめいていた。ユニークな作品群には、思わず、ぷっと吹き出してしまうようなジョークも満載だ。
時代の潮流に従って多額のお金が動く美術マーケットのお高い雰囲気ではなく、もっとシンプルで身近な日常を独自の作品に落とし込み、商売を展開している人たちの自由な呼吸が会場を廻っていた。
2日間のわりにはよく描けたと思う。でもせっかく描いた絵は会期終了後には撤去されてしまう。
他のライブペイントのウォールにはインスタやツイッターアカウントのQRコードが貼られ、来場者がアクセスできるような仕組みになっていた。作品は実に多種多様で、心の叫びをアイコン化したようなビジュアルが強烈な広告効果を出していた。
「クオリティを追求してもしょうがないな」と思った。1〜2日でできるクオリティなんてたかが知れている。それよりも、この会場で効果的な発信をするにはどうしたら良いか、一番伝えたい言葉をキャッチコピーにし、それを何倍にも引き立たせるビジュアルについて考えると、急に頭の血の巡りが良くなった。
ライブペイントはスポーツみたいだ。情動に任せて筆を動かしていると、絵からエネルギーが放出されるようで、サポートで参加していた16歳の娘も、触発され一緒に描き出した。白い絵の具を平筆につけて飛ばしたり、デジタルでは使えない金、銀、銅、蛍光カラーで点描していると、お客さんが集まってきてテンションが上がった。
8時間の立ち仕事は辛いと思わなかったが、終わったあとは、どっと疲れが出た。会場近くのフードコートは、出展者の打ち上げで賑わっていた。焼き立てのチキンステーキを腹に詰め込んだら、やり切った充実感が広がった。
会場のどこへ行っても交流を楽しむ人々が絶えなかった。コスプレをした人、遠路遥々来た外国人もいた。考えも文化も思いも違う人たちが、何を求めて、ここに集うのか。
私は今までギャラリーで展示していた。でも物足りなくて場所を変えた。その判断は多分間違っていないと思う。
次、11月のデザインフェスタから出展料が値上げされるらしい。ここでやめるのか。せっかく飛びかけたのに、また着地するのか。このまま飛び続けることで、新しい地平が見えるかも知れない。
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