お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。
ゴッホ と同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
怖い。悲しい。ネット上で見た「生きるってことはとても恥ずかしいことだ」という誰かの呟きを思い出す。ありのままの自分から逃げるように、多くの人は仮面をかぶり、平和を装い、不安を抱えて生きている。その不安とは「自分の中の闇」だ。
ここで皆と一緒に息をしているけど、いつか息絶えるかもしれない。見放されるかもしれない、人を殺めるかもしれない。自分の中にある、「自分」であって「自分でない」ものが、平穏の中から突如として現れて、まともな自分と平穏な日々を奪っていくかもしれない。
何らかの事情があったにせよ、鴨居玲はそういった自分の闇に徹底的に向き合った人だと思う。でも鴨居が見つめていた闇とは、いつくるかわらかないような生優しいものではなく、もっと激しい、地に引ずり込まれそうなほどの悲哀のようにも見える。
内なるエネルギーの落とし場所を探して彷徨う人の激しい孤独を感じた。鴨居自身も住所を落ち着かせることなく、海外を転々と旅しながら制作を続け、57歳で自死した。そうまでして探し求めていたものは何だったのか。
スピリチュアル ブームの現代では、自己理解、自己受容という言葉をよく聞くけど、はっきりいって危険なことだ。見たくもない、思い出したくない過去、失ったものに向き合い、傷を癒す。過去を俯瞰で見て、終わったこととして片付けて、新しい一歩を踏み出すのはどれだけ勇気のいることか。かつて殺された自分と殺した誰かへの負の感情を手放すことは、相当強くないとできない。ともすれば、もっと深い闇に落ちて戻れなくなるかもしれない。だから探すことを諦めて、刹那的に彷徨い続ける人もいる。
人生に光を見て、自分を大きく変える、ということは、それこそ何処かからの導きがないと難しい。あるがままの生(欲望)を肯定して生きられることは、守られているからできることで、感謝すべきことなのだ。
写真:鴨居玲「自画像」ArtagendAよりスクリーンショット
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