8月に現代美術ギャラリーTAGBOAT主催のIndependent Tokyoに行った。
これは作家がブース展示で参加するグループ展で、成績優秀者はギャラリー からオファーをもらったり、グループ展の機会を与えられるというものだ。
全体的に主張の強い作品が多く、平面にしても立体にしても、素材や見せ方など個性が際立っていた。
ブース前を通ると作家さんが気さくに声をかけてきて、作品について説明してくれた。
私は作品がおもしろいと、作家がどういう人なのか気になってしまう。
技法を聞こうとすると、快く教えてくれる人と、口を継ぐんでしまう人、誤魔化して教えてくれない人がいた。教えてくれない人は、作品の内容より技法で勝負している人だろうか。作品が良かっただけに、残念な気持ちになった。
ぬいぐるみの平面作品を展示しているブースに出会った。作家さんがなぜぬいぐるみなのかを丁寧に説明してくださった。私はそのぬいぐるみに込められた哀愁を読みとろうと立ち止まった。展示された数枚のぬいぐるみ作品は皆で一斉に同じことを訴えているようで、考える暇を与えなかった。ブースを離れようとすると、作家さんは少し寂しそうな顔をした。
後に主催者のサイトで、ぬいぐるみ作品の作家さんが受賞していたことを知った。その理由がなんとなく納得できる気がした。
作家は物づくりをする時、いろいろなものを作品に込めている。情熱や思い、いろいろ。それは言葉では簡単に表現できないから、概ね鑑賞者側に委ねる。それもありだと思う。だって、作品がどのような意図で作られたとしても、見る側は自分の見たいように見るものだから。悪意のある見方でない限り、それも美術品の楽しみ方として受け入れていた。
私は作風を統一しない主義だったけど、こうしてみると統一した方が展示での発信力が強いことを知った。そしてそのような展示の背景には、「見たいように見てください」という無責任な姿勢では決して終わらせられない、作家の社会への強いメッセージが込められている。
そのようなメッセージを持っている作家は制作意図や技法など聞かれたことは率直に話す。美術家として、作品を通してコミュニケーションするという準備ができているからだと思う。
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