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魔性の女の罪と夢。

ようはなんでもいい。さんのYouTube動画「魔性の女の奥深さ」を見た。

なんか気分が悪かった。こうも分析されると生きる力を抜かれるような。だから語り手も、この恐ろしい魔性を「才能」だとか「奥深さ」だとか、聞こえのいいの言葉で包んでいるんだろうな。気分が悪くなるってことは、多分うやむやにしてはいけないことだろう。

魔性。闇の力。多かれ少なかれ、私たち女はみんな持っている。特に男を捕まえるときにこの力を使っている。
人の弱みをついて心を操り、相手を自分のカゴに入れる。そしてその後どうする?私たち女は何を動機に生きる?孤独回避?永遠の愛?それはなんだ?
この問いについての答えは、男女が一線を超えた後で、見える人と見えない人と二極化するかもしれない。




自分は未だに、欲に目をぎらつかせている人を見ると息苦しくなることがある。「欲」というものを心から受け入れていないか、もしくはまだ未承認の欲があるのかもしれない。
特に出産をしてから子育て期間はそれが顕著だった。なぜって、私は当時、心を開いて周りを信じ助け合いたい、つながる喜びに浸りたいと思っていたから。でも心のどこかで、「そんなパラダイスは絵空事だ」とも思っていた。

女子会やママ会に行くと、必ずといっていいほど、自分の男や子供をコントロールした武勇伝や成功談で盛り上がる。私はコントロールされる苦しみに共感する側だったので、こういう女たちの話題に加わると肩身が狭かった。本人たちは、生きるために当たり前にしていることなのかもしれないが。

ここまで深刻に欲に反応してしまう私も、実は強い魔性の持ち主だからかもしれない。




「魔性」と呼ばれるとかっこいいが、心理学的な名称は「自己愛性パーソナリティ」だ。度合いによっては「サイコパス」にもなり得る。養育過程において当たり前の欲望を搾取されたり抑圧されたりすると、青年期以降にこのような人格的傾向が現れる。


私自身も10代20代の頃は、魔性的性質が強かった。
思春期に女らしい欲望や感性が芽生えた頃は、それを叩く人が周りにいた。私の母だ。今思うと、母は強度の魔性の女だったが、本人は全くそれに気付いていなかった。私を保護し、安心や美徳を説いていたが、女性がたくましく生きる力を悪いものとみなし、見つけると叩き潰していた。

しかし叩かれれば叩かれるほど魔性は強くなる。母の籠の鳥だった私は、抑圧した自分を生かすために必死だった。人の気を引くことに躊躇いはなく、自分が輝く可能性のある場所には果敢に飛び込んだ。

とても孤独だった。なぜって、当時の私は自己中心的だったから。本当なら自分の能力を思う存分発揮して、周りに喜んでもらって信頼の礎を築きたかったのに、私は「敬い」というものを持っていないどころか、それが何のかもわかっていなかった。子育てで大変な時に夫を信じきれなかったことも、そのような状態だったかもしれない。私が私自身に対し正直であるためには常に防衛的でなければならなかった。

女として最も美しい時期、いろんなものの土台を作る時期に、周囲の力を信じられず、一人でいるしかなかったことが悲しい。
魔性はいらない。光になりたい。善になりたい。そういうふうに、切実に思い続けてきた。




ようはなんでもいい。さんは、この魔性は男性にとっては夢見心地の「幸福」だと言う。でも魔性の力が解けたときは、「無一文」になっているよ、と。

夢を見せる側の、見る側の、賭け引きと勝敗。あらゆる手管を尽くして、花火のように華やかに咲いて散る夢。同じようなことをくり返す人生の中、激しく生命を集中する瞬間。感じ得るだけの歓喜、苦悩、悲哀、絶望、その全てを味わえるなら、虚しく過ぎていった日々を取り戻せるかもしれない。そう夢見て、走り続けた若い日々を思い出した。

現代人は、どれだけ虚しい日常を送っていることか。死ぬまで衣食住を満たすために、どれだけ生きる喜びを削っていることか。長く大人をやればやるほど、その悲しみにうちひしがれる。
虚しさの根源に取りつくのは難しい。なぜなら私たちは、そこに辿りつくために必要な自由を、多くの社会的規約に阻まれているから。



こんなことをいうと不謹慎かもしれないが、私は第二次世界大戦中に敵軍に体当たりして死んでいった特攻隊に憧れる。
死ぬのは痛い。でもそこに向かっていけるのは、強く何かを信じていたからだろう。自分が死ぬことで恋人や家族を守れる。日本の誇りになる。これは政府が植え付けた迷信だったとしても、自分の全てを掛けて何かに向かっていけることは清々しい気持ちだったに違いない。

「光」の中に生きるとは、こういうことだと思う。
そして彼らが最も幸運だったことは、国や家族への「敬愛」と、それらを守るという志を持っていたことだ。

絵:グスタフ・クリムト 「ユディトII (サロメ)」部分 (1909)



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