いろんな作家の美術評論。
20世紀初頭にウィーンで誕生した天才であること、クリムトの弟子であること、28歳の若さで亡くなったことは概ね知っていて、彼がどんなふうに芸術に向き合っていたかは、ここに書くまでもないのだけど、やっぱり原画の威力はすごいな。
シャガールの作品だけど、題名はわからない。私が知っているシャガールは、もっとファンタジックな印象だったのだけど、この絵はもっちりとした濃厚な情感がある。
当時、私はワイエスの何に惹かれていたのだろう。アメリカの農家の一風景だが、簡素な室内を照らす乾いた光は、幼い頃、私の肌が体感していたものだった。
日本の雨は、趣があって好きだ。晴天の碧礫のように日常に訪れ、ドラマを運んでくる。ある時は戒めるように、ある時は慰めるように、心の汚れを洗い流す。
江戸と京の間の距離は、487.8km。当時、車も電車もないので、徒歩の旅だ。しかしながら、まだ整備されていない、この長く険しい旅路を江戸時代の人はどのように見ていたのか。
グラフィックデザイナーとして駆け出しの頃、お香のパッケージデザインの仕事をしていた。日本古来から使われている日用品を、なんとかセンス良くデザインしようと参考にしていたのが、江戸琳派の芸術だった。
初めて加山又造の作品を見たのは、確か小学生の頃だったと思う。「初月屏風」と名づけられたこの作品は、凄まじい天空活劇を思わせる。
私はこの荘厳な幻想美が好きだ。漆黒と黄金。これは「人間の苦悩」と「聖なる救済」のように思える。
この絵を見たときに、藤田嗣治が戦時中の日本で見たものが分かった気がして、少し胸が痛くなった。
3年前、東京都美術館で開催された藤田嗣治展に行った。正直、若い頃の作品の方が好きだ。