日本の画家の話。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
これまで天才と言われてきた人って、ゴッホにしろ、シーレにしろ、「動物的」だ。すごさと脆さの両方を持って、自分も周りもエゴイスティックに振り回して、傑作を生み出していったみたいな。
日本の雨は、趣があって好きだ。晴天の碧礫のように日常に訪れ、ドラマを運んでくる。ある時は戒めるように、ある時は慰めるように、心の汚れを洗い流す。
江戸と京の間の距離は、487.8km。当時、車も電車もないので、徒歩の旅だ。しかしながら、まだ整備されていない、この長く険しい旅路を江戸時代の人はどのように見ていたのか。
グラフィックデザイナーとして駆け出しの頃、お香のパッケージデザインの仕事をしていた。日本古来から使われている日用品を、なんとかセンス良くデザインしようと参考にしていたのが、江戸琳派の芸術だった。
初めて加山又造の作品を見たのは、確か小学生の頃だったと思う。「初月屏風」と名づけられたこの作品は、凄まじい天空活劇を思わせる。
私はこの荘厳な幻想美が好きだ。漆黒と黄金。これは「人間の苦悩」と「聖なる救済」のように思える。
この絵を見たときに、藤田嗣治が戦時中の日本で見たものが分かった気がして、少し胸が痛くなった。
3年前、東京都美術館で開催された藤田嗣治展に行った。正直、若い頃の作品の方が好きだ。
小学校時代に、母と一緒に行った美術展で見た。佐伯祐三の絵は母が好きで、確かこの展覧会の後、アートグッズを買ったのを覚えている。