• 人生,  日常

    孤独の闇に、美しい満月。

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    窓を開けて夜空を見た。闇夜に浮かぶ、見事に丸い満月は、ほんのりと黄味を帯びていて美味しそうだ。
    「ママ、カメラを貸して。撮ってくるから」といって、嬉しそうに外へ出ていく娘を見ていると、何年か前、夫と娘とともに階段の踊り場に出て満月を撮影したことを思い出した。今年は夫も私も新事業でパソコンの前からなかなか動かないので、代わりに娘がやっている。

    月には表情がある。青白い球面にクレーター(模様)がはっきり見えると、月の機嫌が良いように見える。雲のない夜空に、月は最も美しく光る。

    月は太陽と違って、天の状態で見え方が変わる。霧の夜空には朧月、曇りの夜空には雲隠れの月、太陽の陰になる三日月、半月、最も美しい満月は、何もない澄んだ闇夜に浮かぶ。月は単体にして、その美が認められる。



    周囲や社会状況によって移ろう人の心を思った。天と月が互いに影響し合うように、社会と人も影響し合う。日常は雑音と雑念のトラッシュボックスで、時代の流れとともに、すごい速さで更新されていく。
    人間はどうしようもなく社会的な生き物だけど、日常の合間に孤独はちゃんと用意されている。空虚を超えて「無」になると、外を走り去る車の音や、しんしんと降る雨音が、音楽のように体に入ってくる。孤独な闇の満月のように、「今、此処」にいることに満ち足りていく。


    TOMOMI SATO
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    【Official Site】https://www.ts-artworks.com
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  • アート生活,  人生

    近作を額装して、思ったこと。

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    来年イタリアで販売するので、、近作を額装した。これは昨年完成した小品。2022年1月〜12月までの1年間、近作6点が、イタリア、レッチェのPrimo Piano LivinGallery、その他オンラインギャラリーで販売されることになりました。6月の企画展INTRA MUNDIに出品した作品もこちらにて販売中です。後ほど詳しくご案内します。
    https://www.primopianogallery.com

    良い絵と飾れる絵はイコールではないけど、この絵は飾れる。飾れる絵が描けたことに少し安堵する。
    2018年以前に描いた絵は、正直飾れる絵が少なかった。特に2012年から2018年頃までは、地域社会の中で子育てと自分のあり方を模索していたから、テーマもそのようなものになりがちだった。モチーフに念がこもっていて、ギャラリーで展示すれば見応えがあるかもしれないが、部屋に飾ったら落ち着かない人もいるだろうなと思う。
    伝えたいことの全てを作品に投入するのがアーティストの正しいあり方だと思っていた。今もそれは間違っていないと思うけど、当時は完成した時の達成感と同時に、閉塞感も感じていた。

    2019年末にマイアミへ行ってアメリカのアートを見てから、今までやってきたことが古臭く感じて、今後の方向を模索していた。2020年からの1年半は、予期しない出来事によって、自身の価値観に大変動が起きた。
    意識のベクトルが、今までとは別の方向へ移行する時、物凄いエネルギーを消耗する。それを助けるかのように、いろんな人やものとの出会いがあり、新しい道標を示してくれる。人生ってよくできているなあと思う。


    佐藤智美 Pray 2019(2022年1月よりイタリアで販売予定)


    「幸せってなんですか」っていう月並みな言葉は、流行歌の歌詞にもよく出てくるけれど、これについて考える人、迷う人が多いのは、社会の中で生きていると、幸せの価値観って移ろいやすくなるからだと思う。
    せっかく掴んだ幸せも、時が過ぎれば色褪せて、また新しいものが欲しくなる。人間って、ちゃんとした軸を持たなければ、どこまでも欲張りだ。

    だから「美しい」と感じたこの一瞬を、一つ一つ描き残して置いくことは意味があるんじゃないかな。数年して、これらをつなげてみたら、面白いストーリーができるかもしれない。

    佐藤智美 2hearts 2020(2022年1月よりイタリアで販売予定)



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  • 人生,  思い出

    通学路で、鮮やかな秋に出会う。

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    小学校2〜3年の頃、学校から帰ってランドセルを置くと、友達と遊ぶために外へ出た。玄関を出て砂利道を少しいくとアスファルトの道路に出る。右に曲がると、石造りの垣根の向こうにはたくさん実をつけた柿の木が立っていた。

    少し冷たくなった風がシャツの裾を揺らした。肌寒さに両腕を抱きしめながら、青空に素晴らしく映える柿の赤を見つめた。
    華奢な木の枝に幾つもぶら下がった柿は、どこまでも高く澄み渡る空に向かって燃えている魂のようだった。

    友達が来て私の名を呼んだ。彼女は私の顔を覗き込んで、「柿の木に何かおるの?」と聞いた。ううん、と首を振って、私は友達と一緒に、柿の木を離れた。

    金木犀の甘い香りのなか、いつもの通学路を抜けて田園地帯に出ると、黄色い稲穂が柔らかく揺れていた。
    田園地帯を抜けると、街路樹の道に出る。脇に用水路があり、私は両手でバランスをとりながら細い縁を歩いた。できるだけ早く渡り切るのが好きだった。頭上から落ちる木漏れ日が暖かく優しい。でも、冬が近づくと、この光はだんだん力をなくしていくのだ。

    用水路は浅い川につながり、私はアスファルトの道路に降りた。路面から川面までは2mくらい。まだ入学して間もない頃、下校途中に、この川に校帽を落としてしまったことがある。自分で川面まで降りて校帽を取ったが、登って来れなくて、困っていた。ちょうど学生服を着たお兄さん達が通りかかり、その中の一人が、私に手を差し伸べてくれた。おかげで私は、無事、道に這い上がってこれた。

    家から学校までの30分の道のりは、怖くて楽しい冒険だった。ハプニングの後に大きな優しさに出会う。そんなことを毎日繰り返していたから、充実していた。



    TOMOMI SATO
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