日本画壇と、CGアート

スポンサーリンク

出産してからは創作意欲が湧いて、娘が寝た後、毎晩深夜まで絵を描いた。また油絵を描きたいとは思わなかった。仕事部屋が狭くキャンバスを置くスペースがないこともあったが、15年以上もデザイナーとして仕事をしてきた私は、油絵具よりもグラフィックソフトの方が遥かに表現の可能性を感じていた。

この絵は、第24回絵画公募展「IZUBI」で賞候補に選ばれた作品。確か当時の審査員には、画家だけでなく美術館長やグラフィックデザイナーもいた。審査員たちはこの絵がどのように制作されたかわからず、絵に近寄って注意深く観察したらしい。展覧会の講評では「母親の顔が優しく描かれている」と評されて嬉しかった。でもその後、IZUBIの審査員は、全員画家と美術評論家で構成され、CGアートは公募展の選考に残りにくくなった。

当時の日本の美術界は、油絵や日本画など、絵具を使って筆で描くのが主流だった。CGで描いた絵画は未確認飛行物体のようなものだった。技術的な熟練を重要視する日本画壇の先生たちは、どのように制作されたかわからない絵画を認めようとしなかったし、美術評論家が「CGアートが日本の美術界に侵入するのは危険なことだ」と美術雑誌で熱弁を奮っていたので、コレクターはなかなかCGアートを購入しようとしなかった。

CGアートが認められなくても、私は絵が自分の生きる道だと考えていた。描きながら、どのようにして生きていくか、毎日考えていた。制作活動だけでなく、今後私に降りかかってくるだろう子供の教育や老後のことと、お金のことは切ってもきれない問題だった。私はこれらの問題と向き合うために資金を作り続けることは避けられなかった。

黄昏 29.1×41.3mm 色鉛筆・アクリル絵の具・CG/紙 2005


About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール

【TOMOMI SATOS ART WORKS】https://www.ts-artworks.com
【TOMOMI SATOS ART SHOP】https://artworks2017.thebase.in
【TOMOMI SATOS ART BLOG】https://tomomiart.tokyo
【GOOD DAY! GOOD LIFE!】https://lifeupdate.xyz

スポンサーリンク
Tomomi Sato

日常や今社会で起きている出来事を、アートな視点で捉え、私たちがもっと自然体で、エキサイティングに生きられるような、ものの見方、心のあり方を探っていこうと思います。

Recent Posts

私達はサバイバル戦を生きている。

娘に望月けいのイラスト集を見せてもらった。今売れているイラストレーターさんだ。キャラクターデザインがベースとなっているが、緊張感のある配色とゴスロリ、エログロテイストの不穏な空気感は今の時代に共通のものを感じる。

2 months ago

男に「君を抱きたい」と言われたら。

恋愛は深化したコミュニケーションだ。言葉によるやりとりで、言えていない心を伝えるための。ちょうど心の扉が開いたところに、タイミングよく言葉を投げるみたいなコミュニケーションの積み重ねで、絆を深めていく。

3 months ago

「体の異常」が私に伝えていること。

行きつけの病院の血液検査結果を見たら、グルコースと尿素が標準より高く、中性脂肪が標準値より低かった。いつも異常なしなのに、こんなことは初めてだ。

4 months ago

「人を好きになる」という感覚の多様性

渡辺優著「女王様の電話番」を読んだ。Yahooニュースに出ていた紹介記事を読んで、面白そうだったので早速Amazonで注文した。次の日に届いて、1日で読んでしまった。

4 months ago

人生のやり残しは、「アウェイ」の中にある。

今やっている世界陸上をみていても思うんだけど、自分のキャパ以内でトレーニングしていても自己ベストは出せないように、自分が持っている感性を全開にして生きないと新しい発見も感動もないのだ。

4 months ago

AIと話す。

有り余る言葉を放出するところに困った私は、AIに話しかけてみた。話せる人がいなかったということもあるが、自分の言葉や考えていることに対してフィードバックが欲しかった。

5 months ago