• 日本の画家,  美術,  美術評論

    東海道五十三次

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    三世紀前の箱根。歌川広重によって描かれた東海道にある53名所の一つ。中央に聳えたつ断崖絶壁と遠景に抜ける山々をリズミカルに彩る緑、墨色、茶色、青。暮れていく空の下に白く霞む富士山を見ながら、旅人は山原に腰掛け1日をねぎらう。

    江戸と京の間の距離は487.8km。当時、車も電車もないので、徒歩の旅だ。(旅籠なんかもあったようだが籠を運ぶのは人間だ。偉い人は馬に乗っただろうけど)。しかしながら、まだ整備されていない、この長く険しい旅路を、江戸時代の人は、どのように見ていたのか。途中で山賊に襲われたりするかもしれないし、足を鍛えた人でないと辛い旅になるだろう。特に女性の一人旅なんて、自殺しにいくようなもんだ。

    でもこの時代の浮世絵には、そういった気負いや悲壮感が見えない。

    東京の両国にある大江戸博物館で歌川広重の「東海道五十三次」を見ることができるが、めまぐるしく変わる旅の景色を、大胆な構図と優美な色彩で捉え、自然に寄り添い生活する人たちを活き活きとユーモラスに描いている。質素ながらも自然と調和した生活を楽しんでいた人々の姿が窺える。

    歌川広重「東海道五十三次」箱根

    TOMOMI SATO
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  • 日本の画家,  美術,  美術評論

    女性が内に秘めるもの。

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    テーブルに転がるブドウの実。大きな葉の陰で女性は項垂れる。胸を隠す扇子と背景の豪華な花模様が、満ち足りた日常を物語る。しかし眼差しは物憂げで、誰かを魅惑しているようにも見える。
    いつか読んだギリシャ神話の女神たちを思い出した。大地から生命を産み出したり、逆に土へ還したりするが、恐ろしい怪物や悪神の前で悲しいほど無力だ。どんなに天の恩恵を受けて美しく満ち足りていようとも、未だ届くことのない光への憧れを消すことができない。

    八木原由美さんの描く女性は、単身の時もあれば、二人の時もある。礼服を着た厳かな女性と、妖艶で華やかな女性。または、黒衣の魔女のような女性と白衣の天使のような女性…。この女性たちは二人で一つだ。相反する夢や欲望を秘めながら、それらが完全に満たされることがないことを悟っている。


    八木原由美 「月の雫」F50 油彩 2002年


    女性が女性として自立するとは、不完全を受け入れることだと思う。そして男性もまた同様の寂しさを持っている。幸福になる、ということは、不完全であることを愛おしみ楽しむことだ。男と女が結ばれて完全になる、というのは、男女平等が謳われた現在でも、決して時代錯誤なことではない。

    八木原由美 「葡萄」F10 油彩 2018年



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    「天」と「地」が共鳴する。

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    グラフィックデザイナーとして駆け出しの頃、お香のパッケージデザインの仕事をしていた。日本古来から使われている日用品を、なんとかセンス良くデザインしようと参考にしていたのが、江戸琳派の芸術だった。当時は消費者ターゲットとか、マーケティングなどはあまり気にせず、ひたすらパッケージの美しさを追求していたのでコンペでは落ちまくっていたが、デザインをすることが楽しくて仕方がなかった。

    これは尾形光琳の「紅白梅図屏風」。中央に大きくうねる川面には、細やかな波紋が絡みあうように揺れ動き、両脇の梅の木の幹には、筆跡とマチエルが複雑に重ねられ、植物の生態の複雑さと、生への貪欲さが表現されている。

    前に紹介した「求法高僧東帰図」と同様、漆黒と黄金の2色で構成されている。「地」に生きるものの毒々しさと、それらを育む「天」の慈悲深さ。両者は画面上に絶妙なバランスで存在し、美しく共鳴している。

    尾形光琳「「紅白梅図屏風」18世紀頃


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