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「タイタニック」のジャックとローズ〜崖から飛び降りた先にあるもの

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インスタで最近タイタニックの映画の切り取り動画が流れてくる。タイタニックは20代後半の頃大ヒットした映画で公開直後に観に行った。その時はラブストーリーよりも沈没するタイタニック号の臨場感におっかなびっくりしながら見ていたのを覚えている。

しかしインスタで流れてくる動画を見ていると、ジャック扮するレオナルドデカプリオが思いのほか魅力的に感じた。そんなに美男子と思わないが、笑った顔が無邪気で可愛い。屈託がなくて、それでいて意志的で凛々しい。こんなにカッコ良かったかしら、と改めて思ってしまった。

ローズ扮するケイト・ウインスレットも、歯に衣着せぬ物言いのジャックに食い入る可愛さとか、ジャックのモデルになる時の決意を秘めた眼差しとか、若い人ならではの強さが美しい。

このくらいの年の頃、私は何をしていたっけな。恋愛を楽しむ若者ではなかったけど、広告会社で上下にもまれながら奮闘してたな。経験も知識もなく、周りとどう接していいかもわからず、それでも何か掴もうと必死だった。色々トラブって周りに迷惑かけて、自分自身に失望の毎日だったけど、こんな私でも支えてくれた人たちがいたことには感謝しかない。若いから許されたのかもね。

タイタニックのローズとジャック、どうしてこんなに美しいんだろう。

自身の若い時、未来は霧がかかっていて、自分で切り開くか、さもなくば死ぬしかない、と思っていた。死ぬ、と言っても平和な日本だから、銃弾が飛んで心臓を貫かれるわけではないけど、当時イメージしていた「死」とは、私が私であることを否定されることだった。「私である」ことに拘っていたのは、日常生活の中であまりにも「私」を表現できておらず、また周囲にもうまく伝えられていない不完全感がいつもくすぶっていたため、縦横綺麗に会社、生活システムの中に収まることができなかった。

当時周りにいた、私と同じくらいの歳の人たちはいろんなことがうまくやれているのに、どうして私はできないんだろう。この劣等感を克服しないうちに死ぬわけにはいかなかった。少しでも、自分が生きられる道が見つかれば裸一貫で飛び込んだ。

タイタニックの船頭に立つローズも、まさにそんな状況だった。会った事もない、愛してもない男と結婚させられることになり、人生の希望を失いかけたときに、自由に生きている画家のジャックと出会う。ジャックとの恋はそれこそ、崖から飛び降りるようなものだったのではないだろうか。飛び降りなければ、その先の彼女の人生は「死」しかなかったのだから、贅沢で空虚な、タイタニック号から潔く飛び立つことができたのだ。

物語の終盤でジャックは冷たい海で息絶え、ローズが一人残されることになったが、彼女は後の人生で様々なことに果敢に挑戦する能動的な女性へと変貌していた。


年齢を重ねて、何が衰えるのかというと、体力、気力とかよりも、「崖から飛び降りる」勇気が持てなくなることだ。今ま築き上げてきたものの上に安住し、それ以上の挑戦をしなくなる。
先々に絶対的な安心などないのはわかっているけれど、だからと言って、無理をしてまで今以上のものを望まなくなる。欲がなくなるのは幸か不幸か。今は健康だから、なんとなく生きていられるけど、いずれいろんなものが欠乏してきて、本当の人生の終わりが見えてきたときに、私は何を思うんだろう、と考えるということは、私はまだやりきっていないんだろうな。

タイタニック号から飛び降りたローズみたいに、最後まで夢を見て、天国に飛び込むように、今を、自分を終わらせられたらいいなと思う。

写真:Safari onlineより

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Tomomi Sato

日常や今社会で起きている出来事を、アートな視点で捉え、私たちがもっと自然体で、エキサイティングに生きられるような、ものの見方、心のあり方を探っていこうと思います。

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