「人を好きになる」という感覚の多様性

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渡辺優著「女王様の電話番」を読んだ。
Yahooニュースに出ていた紹介記事を読んで面白そうだったので早速Amazonで注文した。次の日に届いて、1日で読んでしまった。

有名企業を恋愛がらみのトラブルで退職してしまった女性が、次の仕事の繋ぎのためにSM嬢デリバリーのコールセンターの仕事を始める。そこで熟女の売れっ子女王様と出会い、彼女を「推し」とするが、突如その女王様が姿を消してしまう…性の多様性をテーマとした、ちょっとミステリータッチの小説だったが、読了感は清々しかった。常識とか固定観念で縛られた性は差別や偏見を生み、生きること自体を息苦しくさせるものだが、この本を読み進めるたびに霧が晴れていくようだった。

人と、もう一歩、深く係りたいと思った時に、セックスの問題に直面する。普段あまり意識していないのだけど、あるいはメディアから大量に流されている性情報によって植え付けられた「男女」という固定観念を投影しているのかもしれないけど、セックスに直面すると、自分が本当は何を感じ、何を欲している人間かに向き合わざるを得ない。そこに見えた真実に世間的な善悪は通用しない。目の前にいる人が自分にとってどういう存在で、何を与え合えるかを見極めなくては、関わることはできない事実に愕然とする。

今までLGBTについて深く考えたことはなかったけど、彼らは彼らで自然体で幸せに生きるために、自分の在り方と他人とのつながり方を選んでいる。それは本来、法で縛れるものでも、社会的差別や偏見に晒されるものでもない。だけど私たちは無意識に社会通念や慣習に支配され、共通ルールから外れたものを嫌悪したり批判したりしがちだ。

この本について、あまり書きたくないなあと思っていたのだけど、ついパソコンに向かうと言葉が出てしまう。でも、それぞれと捉え方が違うと思うので、ここまでにしておくね。

私はこの本によって少し、いやだいぶ、自由になれたかもしれない。
しかし、今直面している日常とハレーションを起こしていて、やや混乱状態だ。

私は人に怯えていた。人と深く係ると魂を持っていかれると思っていた。でもこれは多分トラウマによる思い込みなのだと思う。

周りの人が私に意見を言い、心を読んで理解を試み、また働きかける。その状態がいささか心地悪い。母親の干渉から逃れられなくて苦しんでいた少女期を思い出させる。逃げ出したい気持ちギリギリのところで踏ん張っているのは、この状況から自分を変える手がかりを掴みたいからだ。

「人を好きになる」という感覚も実に多様だ。話したい。なんか気になる。一緒に暮らしたい、セックスしたい。共に目標を達成したい…。そういう感情の周辺にある快不快は、心の中ではグラデーションみたいに移り変わっている。

生まれてから今まで、色々な感覚や感情を私たちは体験している。
社会的役割によって抑圧されてきた多くの感覚は、本当は私たちを不幸にするものではなく、私たち自身の幸せについて考える道標となることを誰もが知り受け入れることができればいい。欧米人があいさつのようにキスをしたり、親愛を込めて抱擁したりするように、他人や社会のとの絆を育むための多様なコミュニケーション力が育まれていくといいなあと思う。


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Tomomi Sato

日常や今社会で起きている出来事を、アートな視点で捉え、私たちがもっと自然体で、エキサイティングに生きられるような、ものの見方、心のあり方を探っていこうと思います。

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