当時は神奈川県の美術コースのある高校に通っていて、これは油彩の授業で初めて描いた作品。まだ絵が何たるかもわからず、油絵具の使い方も慣れていなくて、ただ物の形や色をしっかり捉えようとしていた。
周りには独特の感性を持った子がたくさんいて、彼らの作品と並ぶと私の絵が凡庸に見えたものだった。そのことを先生に話すと、「素直なところがあなたの長所」と言われた。この作品は高校生対象の芸術コンクールで特賞をいただき、その後20年程校長室に飾られていたらしい。
高校生当時は、素直であることが、なぜ良いのかわからなかった。他の子のように主張ができないことをコンプレックスに思っていたから。だけど今は、「素直」がなぜ良いのか理解できる。
自分の感じたことに正直であること。目立とうとしたり、媚びたりすることなく、見たものの美しさをまっすぐに伝えようとする姿勢がなければ、良い作品を作り続けることはできない。なぜなら感性の成長ができないからだ。
今までの制作活動も紆余曲折あって、作品を発展させようとして色々考えたことがあったけど、考えすぎるとアイデアはエゴの塊になってしまう。曇りない目で物事を見ること。感動を素直に伝えること。この姿勢を忘れないでいたい。
佐藤智美 静物 F15 油彩 1987年
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)