テーブルに転がるブドウの実。大きな葉の陰で女性は項垂れる。胸を隠す扇子と背景の豪華な花模様が、満ち足りた日常を物語る。しかし眼差しは物憂げで、誰かを魅惑しているようにも見える。
いつか読んだギリシャ神話の女神たちを思い出した。大地から生命を産み出したり、逆に土へ還したりするが、恐ろしい怪物や悪神の前で悲しいほど無力だ。どんなに天の恩恵を受けて美しく満ち足りていようとも、未だ届くことのない光への憧れを消すことができない。
八木原由美さんの描く女性は、単身の時もあれば、二人の時もある。礼服を着た厳かな女性と、妖艶で華やかな女性。または、黒衣の魔女のような女性と白衣の天使のような女性…。この女性たちは二人で一つだ。相反する夢や欲望を秘めながら、それらが完全に満たされることがないことを悟っている。
八木原由美 「月の雫」F50 油彩 2002年
女性が女性として自立するとは、不完全を受け入れることだと思う。そして男性もまた同様の寂しさを持っている。幸福になる、ということは、不完全であることを愛おしみ楽しむことだ。男と女が結ばれて完全になる、というのは、男女平等が謳われた現在でも、決して時代錯誤なことではない。
八木原由美 「葡萄」F10 油彩 2018年
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女性が内に秘めるもの。

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