作品のラフスケッチを描いていたら、目が痛くなった。最近はずいぶん老眼が進んだ。創作意欲は増してきているというのに。しかしながら、使い込んできた目はきちんと休ませないと、次の日に役に立ってくれない。
そういえば、12年ほど前、ニュージーランドの展覧会で作品が完売し、やる気が満ちているときに老眼鏡をかけることになった。気力と体力は、私の場合、反比例するらしい。
数日前、SNSに、こんな投稿をした。
We can only see the body when we are young. As we get older, our bodies decay and only our spirits remain.
(私たちは若い頃、肉体しか見えません。年齢を重ねると肉体は朽ちて精神だけが残ります)
ちょっとした反響があり、その通りだという人もいれば、否定的だと反論する人もいた。人によって捉え方が違うもんだなあと思う。
どんな風に生きていても体は老いていく。これは誰にとっても避けられない現実だ。
ではなぜ、歳を重ねても生きていけるのかというと、体力があるときに行動して得た心の糧があるからだと思う。
私がデジタルアートを始めたのは今から17年前で、当時は自分にどれだけの可能性があるかわからなかった。「創って、発表する」という経験を重ねて自分自身を知り、次の一歩を見つけて来た。
私にとって「自由」は尊い。やりたいことをやってきたからこそ、これからを生き抜く気力と知恵を育ててこれたのだ。
世の中で言われている「若いときにやっておいた方がいいこと」の、2位が運動、1位は資産運用だそうだ。その他必需品は、趣味、友人。安泰に生きるために必要な貯金は約2000万円。この記事を見て、焦って働き出す人や、貯金し始める人がいるのだろうけど、これらを全部持っている人はどれだけいるのだろうか。どんなに準備をしたところで、何があるかわからないのが人生だ。
私は今、決して裕福ではないけれど、家族もいるし、ご飯も食べられるし、窓を開ければ美しい夜景も観れる。日常は私一人ではなく、一緒に生きている人とともに築いてきたものだ。誠実に努力を続けて得た安らぎを、目一杯の感謝を持って味わう時間の延長上に、未来があるのだと信じている。
肉体が老いたとしても、精神の活動が止むことはない。誇りを持って最後まで完走できたらと思う。
About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール
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昨日書いた記事が抽象的で不完全感があったので、「子持ち様」問題についてもうすこし調べてみた。特に職場で子供のために急に休む人のしわ寄せが子持ちでない人にいくことが問題視されているようだった。
ネット上で子持ち世帯が批判される現象について、それが恋愛や結婚への消極的な風潮や社会的な価値観の変化、女性性の解放や新しい生き方の模索とどう関連しているかを探った。
教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。