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大学3年次に、抽象クラスと具象クラスに分かれた。私は具象クラスに入ったものの、アカデミックな写実表現から抜け出ようとしていた。クリムトの象徴主義、ムンク の表現主義を取り入れながら、「どう描くべきか」より、「何を描くべきか」に拘っていた。

3人の女は、葛藤する3つの心。平静、不安、悲しみ。彼女たちの髪毛を血のような赤で繋ぎ、背面の装飾に秘められたエロスをちりばめた。

この作品は学校の講評会では不気味な印象を与えた。否定も肯定もしない女性性をここまであからさまに表現すると、美というより不安感を与えるようだ。しかし描き終えた時、私は、探していたことの手がかりを見つけたような満足感を覚えた。

初めて独立美術協会展に出品するも落選。描きたいテーマに技術が追いついていないことはわかっていた。しかし誰の真似でもない自分の表現を見つけたかった。


試練 162×85cm 油彩 木製パネル 1991


About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール

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Tomomi Sato

東京在住のアーティスト。理解しがたいものを理解し受け入れるために書いています。自由でスピリチュアルな風の時代に、私の気づきがお役に立てればと思います。

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