大学3年次に、抽象クラスと具象クラスに分かれた。私は具象クラスに入ったものの、アカデミックな写実表現から抜け出ようとしていた。クリムトの象徴主義、ムンク の表現主義を取り入れながら、「どう描くべきか」より、「何を描くべきか」に拘っていた。
3人の女は、葛藤する3つの心。平静、不安、悲しみ。彼女たちの髪毛を血のような赤で繋ぎ、背面の装飾に秘められたエロスをちりばめた。
この作品は学校の講評会では不気味な印象を与えた。否定も肯定もしない女性性をここまであからさまに表現すると、美というより不安感を与えるようだ。しかし描き終えた時、私は、探していたことの手がかりを見つけたような満足感を覚えた。
初めて独立美術協会展に出品するも落選。描きたいテーマに技術が追いついていないことはわかっていた。しかし誰の真似でもない自分の表現を見つけたかった。
試練 162×85cm 油彩 木製パネル 1991
About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)