5年ほど前まで、ポロンというネザーランドドワーフの女の子が我が家にいて、10年間私の仕事部屋に住んでいた。10年も一緒にいるとウサギというより、顔見るだけで何を考えているかわかってしまう姉妹のようだった。
1日1回はゲージから出して、家の中を自由に遊ばせる。ポロンは狭いところが好きで、娘の机の下とか、私のパソコンデスクの横の作業台の下などにちょこんと座っていることが多かった。そしてお腹が空くと、私の足をツンツンと鼻で突いてみたりする。
ポロンは本当に感情豊かなウサギだった。ウサギはあまり声を出さないものだが、ワクワクしているときや、怒っている時は、すぐにぶうぶういうので、「こいつ自然界に行ったら、すぐに猛禽類に喰われるだろうなあ」なんて家族で話していた。
健康診断の時、診察台の上で足ダン(相手を威嚇するときにする行動)して、動物病院の医者に「普通、診察台に乗ると、ウサギは緊張して動かないもんですがね、こんなに気の強い子は初めてだ」なんて言われたこともある。
でもポロンは優しい女の子だ。私が悲しんでいたり悩んでいるとき、彼女はいつも寄り添ってくれていた。
深夜に仕事部屋に入ると、ゲージでねそべっていたポロンは上半身を起こして、私をみた。その時の水晶のように澄んだ目が忘れられない。
ポロンは、毎日人間の生活を見ながらいろんなことを考えているんだろうなあ。言葉が話せたらいいのに、と思ったことがあったけど、言葉が話せないからわかることも多いような気がした。
ポロンは2016年に他界したけれど、今も1日何度か思い出す。ポロンを抱っこした時の温度とか毛皮の匂い。それらの思い出は今も私を癒してくれる。
佐藤智実 来訪者 2013
About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール
【TOMOMI SATOS ART WORKS】https://www.ts-artworks.com
【TOMOMI SATOS ART SHOP】https://artworks2017.thebase.in
【TOMOMI SATOS ART BLOG】https://tomomiart.tokyo
【GOOD DAY! GOOD LIFE!】https://lifeupdate.xyz
教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)