美術教室の講座を担当するので、自己紹介文のリライトをした。これを機に、アーティストステイトメントも見直そうと思った。
ヨーロッパの展示でアーティストステイトメントは重要だ。芸術を教養と捉えるヨーロッパでは作品と同様、作家のストーリーもかなりの比重で審査対象になる。最終選考に残るためには、提出書類に見直す余地があると審査側に指摘されたこともあり、自身の制作活動を振り返って再考する必要があった。
この作業は何度やっても、むずかしい。直感がやっている作業を、ぴたりと言葉で言い当てるのは簡単ではない。それでも、何度も試して自分を掘り下げていくと、少しずつ自分が何をやろうとしていたのか、見えてきた。
私は絵を描きながら「生きる力の源」を探していたのではないかと思う。デジタルアートの制作を始めて、今年で16年になるが、画風はかなり変化した。ライフステージが変わる度、見つめる対象も変わったけれど、一貫して変わらないものがある。
自然の中で生きる動物たちや、社会の中で生きる人たちの、喜び、楽しみ、悲しみ、苦しみ。命あるものに沸き起こる全ての情動は、生きる力の躍動だ。わくわくする時もあれば、神聖な静寂に包まれる時も、得体の知れない暗黒に引き込まれる時もある。それは全て、魂が内外の宇宙に触れる瞬間なのだ。この時の魂の輝きほど尊いものはないと思う。だから、一つ残らず描き残しておきたかった。
佐藤智美 楽園 2005
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)