Categories: アート生活人生

私は今、「愛ある動機」を探している。

スポンサーリンク

ここ1〜2年のことだが、「伝えたい」とか「承認されたい」という気持ちが減少した。これは諦観なのか、達観なのか、伝えたいことを表現しようとすればするほど、伝えたいことの本質からずれていくような気がしたのだ。
いろんな仲間から声がかかっていて描かなければという焦りはあるのだけれど、常に動いているアートマーケットの中で動かなければ後退していく危機感もあるのだけれど、なんとなく体が進まないは、そのせいだ。

「物事の本質に近づけば近づくほど、物事は抽象化するんですよ」
Youtubeで誰かが言っていた。そうかもしれない。物事は光を当てる方向で見え方が変わる。具体化すればするほど、そのものが持つ深みを失っていく。具体化しなければ世の中の多くの人には届かないのはわかっているけれど、自分が信じてきたことと違うことをやるためには、それ相当の「愛」が必要なのだ。そして私は今、「愛ある動機」を探している。

久しぶりにトライセラのギャラリーを更新した。新作をアップロードする時に、以下の3つの表現の有無をブラウザに聞かれる。
1.性的表現 2.宗教的表現 3.政治的表現 
どれかが含まれると、ギャラリーは作品を広告に使用することができない。

タブーとは、侵されざるべき領域のことだ。私たちには絶対的存在などないのだけど、平和でいるために寄るべきところを求める。日本では性的表現が最もタブー視されているので、不倫などをすると激しく糾弾される。
タブーが人間性を侵害し、芸術は社会を革新すべきと考えていた私は、ある時期、このタブーに挑戦するように描いていた。しかしタブーは、集団意識の中に組み込まれていて簡単には改革できない。それこそ社会批判で殉職する覚悟が必要だ。

ある国では、神についてコメントした女優が批判の的になり、SNSが炎上した。ある外国の友人は政治の話になると口を閉ざしてしまう。地域によってセンシティブな問題は異なるのだろう。
地球規模で考えると、何が正義かなんて明確にはできないものだ。国や地域で文化が違うように、生きていくために信じていることは共通ではない。無闇な主張は争いを引き起こすようなもので、安易に表現するのが怖くなってきた。

しかし私は私で、寄るべきところを求めている。それは多分、主張を必要としない安らかなものだ。いつも意識できないだけで、その瞬間は時々くる。そういった瞬間を描かなければと思う。そして芸術に必要なものは、必ずしも芸術の中にあるわけではないことも、薄々感じている。

ジョアン・ミロ《華やかな翼の笑顔》1953年



About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール

【TOMOMI SATOS ART WORKS】https://www.ts-artworks.com
【TOMOMI SATOS ART SHOP】https://artworks2017.thebase.in
【TOMOMI SATOS ART BLOG】https://tomomiart.tokyo
【GOOD DAY! GOOD LIFE!】https://lifeupdate.xyz

スポンサーリンク
Tomomi Sato

東京在住のアーティスト。理解しがたいものを理解し受け入れるために書いています。自由でスピリチュアルな風の時代に、私の気づきがお役に立てればと思います。

Recent Posts

「陽キャラ」と「陰キャラ」。

教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。

6 days ago

地に足をつけて、天を見上げる。

近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。

1 week ago

変わっていくものと、変わらないもの。

朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。

3 weeks ago

鴨居玲の自画像〜自分の闇を見つめる

お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。

3 weeks ago

「人」を愛する。「間」を愛する。

大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。

4 weeks ago

佐藤智美展〜INSPIRATION

【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)

4 weeks ago