人生のいろんなところで、才能のある若い人と出会う。純粋な目はひたすら美を追い求めていて、清々しい強さを感じると同時に、私が若い頃持ちたくても持ち得なかったものを見る。
若くして成功を手にする人は、幼い頃からすでにレールの上にいて、迷いなく歩んでいくうちに周囲から認められ、確固たる地位を得ている。
私もそのようなレールにいたのだけど、途中で脱線した。なぜなら、このままでは人間としてやばい、と思ったから。
絵を描くことだけでは、唯一無二の自分を感じられなかった。とても傷つきやすくて、いずれ来るであろう人生の嵐にも立ち向かえない自分が不安だった。そして、そのように思わないで、嵐から守られる道を選ぶ人たちに羨望と不可解を感じていた。多分彼らとの大きな違いがあるなら、絵を描くための周囲の人間関係に信頼を持てなかったことだと思う。
アートから離れた時もあり、いろんなことを経験した。社会に出る前に手掛けた作品を見てみると、当時、無価値に思えていたことに、この上ない美しさを感じる。今まで無理やり追い求めていたものは、単なる「経験」でしかない。でも、それがあるからこそ、それがなかった頃の良さを理解できるようになった。
50歳を過ぎて、まだアートの世界にいる。いろんな困難を乗り越えて、評価をもらえたことも今まであったけど、私はそれを快く受け取ることができなかった。評価されると、その場所に捉えられてしまいそうで。いつも次を目指していた。
安定を願いながらも、安定を望まない私がいる。今よりもっと自由になりたくて、わざわざ廻り道を選んでいる。
経験なんて、これ以上は必要ない。そんなものはない方が、人生は何倍も自由だ。若い時にそれを知っていたら、人生は全然違うものになっていただろうか。でも今、唯一無二の自分を感じることができるのは、積んできた経験のおかげだ。
近いうち、私は自分の居場所を決めるときが来るだろう。与えられた評価はしっかりと受け取って、その人たちとともに生きていく覚悟をするのだろうなと思う。
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)