2021年7月12日 遙 初夏、柔らかい土に芽吹いて、かわいいハート形の双葉から蔓が伸び、葉は青みを増して、絡み合いながら蕾を付ける朝顔。大輪に咲く花もあれば、葉や他の花の陰になって歪んでしまう花もあります。そして最期は皆、萎んで茶色くなります。 続きを読む
2021年7月12日 街の灯 20代の頃の私は広告制作会社に勤めていて、帰宅はいつも深夜でした。 最終電車に乗り、約1時間程で着くホームタウンの駅から、自宅までの約20分間の夜道を、両親はいつも心配していましたが、私はこの夜道を歩くのが好きでした。 続きを読む
2021年7月12日 黄金樹 4、5歳の頃、肌寒い晩秋の朝でした。「遊んでくる」といって、私は一人で家を出ました。毛糸の手袋の上から息を吐きかけながら、雨上がりのぬかるんだ道をとぼとぼ歩いて、見上げると、大きなイチョウの木が立っていました。 続きを読む
2021年7月12日 赤い風船 私は14階建てマンションの12階に住んでいます。快晴の日はスカイブルーと白灰の力強いコントラストを見せ、私たちが今、少しずつ洗練され進化しつつある現代に生きていることを感じさせてくれます。 続きを読む
2021年7月11日 明日 駅でレンタサイクルを借りて、延々と続く田園地帯を直進していくと、黄金に近い真黄色の花畑が見えてきました。未来の憂鬱も不安もすべて笑い飛ばすような、明るくて麗しい光景でした。 続きを読む
2021年7月11日 窓辺 春期の真只中、エネルギーを持て余すばかりだった私は、雨の日に、無彩色の世界に滴り落ちる透明な雫と、さらさらと囁くようなやさしい雨音に慰められながら、手に届かない未来を空想していたのです。 続きを読む
2021年7月11日 黄昏 私が住んでいる西葛西はちょうど江東区と江戸川区をへだてる中川沿いで、対岸には煤汚れた工場地帯と近代的なビル群が見えます。しかし夕暮れ時になると、沈んでゆく夕陽が地平線もろとも黄金に染め、すばらしく神々しい世界にしてくれます。 続きを読む