Categories: 美術美術評論

エロスとエモーション

スポンサーリンク

痩せた体と白い肌。死体のように目を閉じた女。唇を開いて大きな目で誘惑する女。人体に戯れるように走る曲線と装飾。甘やか、きらびやか、激しさ、恐ろしさ。対極する感情が画面で混ざり合う。
この絵になぜ「水蛇」という名前がついたのかわからないが、多分、クリムトの女性に対するイメージだろう。

クリムトの描くエロスとエモーションは、麻薬的だ。痩せて骨張った女性像は、やや即物的な感じがするが、画面を構成する曲線や装飾が、幻想的に仕上げている。
ドラックの中毒患者は、恍惚感を通常の人の何倍も感じるらしい。私はドラッグをやったことがないけれど、この絵を見て、こんな感じなのかな、と思った。

グスタヴ・クリムト《水蛇》1907年

About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール

【TOMOMI SATOS ART WORKS】https://www.ts-artworks.com
【TOMOMI SATOS ART SHOP】https://artworks2017.thebase.in
【TOMOMI SATOS ART BLOG】https://tomomiart.tokyo
【GOOD DAY! GOOD LIFE!】https://lifeupdate.xyz

スポンサーリンク
Tomomi Sato

東京在住のアーティスト。理解しがたいものを理解し受け入れるために書いています。自由でスピリチュアルな風の時代に、私の気づきがお役に立てればと思います。

Recent Posts

「子持ち様」が育てているもの。

ネット上で子持ち世帯が批判される現象について、それが恋愛や結婚への消極的な風潮や社会的な価値観の変化、女性性の解放や新しい生き方の模索とどう関連しているかを探った。

11 hours ago

呼吸が止まる時。

空を仰いでいる若者は、勢い余って崖から落ちそうだが、彼の顔には不安も恐怖もなく、好奇心でいっぱいだ。崖から落下するか飛ぶか、可能性は未知数だ。

1 day ago

「陽キャラ」と「陰キャラ」。

教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。

2 weeks ago

地に足をつけて、天を見上げる。

近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。

2 weeks ago

変わっていくものと、変わらないもの。

朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。

4 weeks ago

鴨居玲の自画像〜自分の闇を見つめる

お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。

4 weeks ago