いくつもの日常の痕跡。

小学校時代に、母と一緒に行った美術展で見た。佐伯祐三の絵は母が好きで、確かこの展覧会の後、コースターだったかな、アートグッズを買ったのを覚えている。でも正直、小学生の私には、この人の作品の良さがわからなかった。

美術学校卒業後、渡仏。6年間パリで制作活動し、肺炎のため30才で死去。
在日時代に描かれた作品はオーソドックスな画風だったが、パリでヴラマンクを訪ねた際、「君の絵はアカデミックだ」と罵られたことから、画風が変化していった。

モチーフは、広告の貼られた壁、ドア、大通りなど、日常でよく目にする風景が多い。勢いのある線と、塗り重ねられた色彩、マチエルの調和が絶妙だ。そこには佐伯がとらえたモチーフの歴史、関わった人が刻み付けていったいくつもの日常の痕跡が表現されている。
当時の日本人には珍しい、独特のセンスだなと思う。

佐伯祐三 ガス灯と広告 1927年

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