男と女は対等であるべきだと思っていた。それは、ちゃんと頭で考えられるようになること。そういう努力をいつもしていた。
子供の頃、なぜ殺人事件の犠牲者はいつも女で、加害者が男なのだろう、ということを、よく考えていた。男の方が力が強く、その気になったら女をねじ伏せることは簡単なのだという事実が、いつの間にか恐怖として私に巣食っていた。
美しく装う女はトゲを隠し持っている。誘惑して、相手の弱さにつけ込んで内部から破壊する。心が育っていない女ほど、そういう毒を武器として使こなす。あれは、男の支配に対抗するために、女がこっそり育てているものなんだろう。
…ものなんだろう、という言い方なのは、私はそれをうまく使えないからだ。だから本能に支配された男女を見ると、なんだか私が食われそうな気になってくる。
いつか見た少女向けアニメで、化物のように巨大化した敵の男を、それ以上に巨大化した少女戦士が優しく包み込み無力化するシーンを見た。なんだか、涙が出た。だって無力化された男が、とても安らかな顔なんだもん。少女戦士は武器を使わなかった。本当に和合する時は、武器なんていらないのだ。
現実の人間関係も、こんなふうに優しく和合できればいいのにな。本能に支配された人の暴力に恐れ立ちすくんでも、その向こうにある真実(心)を信じて真っ直ぐに手を差し伸べられるような、そんな人になりたい。
エドヴァルド・ムンク《ふたり(孤独な人達)》1899年頃
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