ここ数日家の中の掃除をしている。昔の制作物や資料がたくさん出てきた。稚拙なりに一生懸命やっていたなあと、なんだか懐かしくなった。
娘が生まれた当時に両親からもらった旅のお土産とか、娘が小学校時代の絵とかお手紙とか、夫婦の会話があまりなかったときに夫から贈られたプレゼントや手紙が出てくると胸が締め付けられる。あの時はいろんなものに振り回されて不満だらけだったけど、ちゃんと周りから愛されていたんだなあ。
過去のいろんな遺物と再会する度、心の中が整えられていく。この際年末まで家の掃除を徹底したい。
家族の中で天に召された人がいると、なんだか自分も天に近くなったような気がする。死がそう遠くない未来に思えると、周囲と少し距離ができ、人の心が見えるようになる。
歳を重ねて、肉体が萎んで朽ちる瞬間まで、できる限り楽しく生き、充実させたい。いつまでも自分の殻に閉じこもっていないで、声を掛け合い、助け合おうという気にもなる。そうやって、成長し続けないと生きている気がしない。
哲学とか心理学とか、占星術とか、エゴに振り回されないために学んだものはたくさんあるけれど、いくら知識を深めたとしても、欲望とか感情は沸き起こるし、間近に触れると痛い。でもそれは、どうしようもないものだからこそ愛おしいし、それらを抱えながらも誠実に生きようとするから人は美しい。
….とはいっても、まだ怖い。人の欲望とか感情に触れるとは、心の核に触れることだ。激しくも柔らかい場所には安易な気持ちで触れるべきではないし、それ相当の覚悟がいる。
これからも私には運命的な出会いがあり、経験に鍛えられて、自分の幅を広げていくような気がする。
本当の愛を知る、本当の己を知る、と言うことは、自分が一番欲しいと思っていたものを掴んでとことん味わって、湧き出てくるエゴの残酷さを体感する時だと思う。ひたすら守っていたものを壊された時に、遺されたもので己を知り、与えられたもので愛を知る。
そんな経験を重ねて、いろんな恐怖から脱皮していくのかなと思う。
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)