数週間前にセラピーに行った時、親身になって聞いてくれていたカウンセラーさんが、突然困ったように視線を泳がせて、「もう時間なのですが」と言い、私は「ごめんなさいね」と言って、セッションルームを出た。
もちろんセッションの時間制限はどこにでもあるのだけど、あのクロージングを見ると、カウンセラーさんて、話を聞きたくて聞いているのではないのだなあ、と思った。
仕事として、知識と技術を駆使してクライアントの話を聞いているのだろうけど、やはり人の話を聞くのは負担がかかるのだろうか。
それを思うと、カウンセラーに話すよりも、信頼できる友人に話す方が心強いし、これからはカウンセラーになる学校よりも、親友の作り方を教える学校を作った方が社会のためになるのかもな、とちょっと思った。
何日か前に、カウンセラーさんによる「嫌な客の断り方」のSNSライブを見た。これはおそらく同業者向けの動画だろうけど、一般公開されているということは、「このような人は来ないでください」と公言しているようなものだ。客に言っていることと本人が思っていることがこれだけ違うと、信用問題にも関わるし、私だったら、このような人には仕事を頼まない。
本当にカウンセリングが必要な人は、ショックで錯乱状態だったり、何が言いたいのかわからないほど落ち込んでいる場合が多い。そういう人を予め「迷惑客」に設定してしまうことはカウンセラー自身が「カウンセリングに自信がありません」と公言しているようなものだ。
インターネット上には、このような偽カウンセラー がたくさん出回っている、ということが恐ろしい。世間はますますカウンセラーを信用できなくなる。
私がよく聴くyoutuber、神戸メンタルサービスの社長さんの話は、心理カウンセリングの経験から愛や性の考え方など哲学的な領域まで及んでいてとても興味深い。そしてカウンセラーという仕事についても「簡単に食っていけると考えてはいけない。修行期間が5年から10年は必要」とも言っていた。
そうだろうなあ、と思う。他人の感情を受け止めるには覚悟がいる。それ相当の経験と人間性が必要だ。
知識や技術に人生経験が裏付けされないと、信頼される仕事にはならないんだろうなあ。
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)