豪快に手を広げる蘇轍と、艶のある黄色とオレンジ、緑のアダン。賑やかに主張しあう南国の近景。遠景の島は、それらを冷めた目で見ている。
田中一村は最も好きな作家の一人だ。作品だけでなく、その真っ直ぐな生き方も好きだ。
貧困と闘いながら制作するもなかなか日の目を見なかった一村は、これまでの人生に区切りをつけて奄美大島へ旅立った。この時、51歳。奄美大島で制作を続け、69歳でこの世を去った。
最初に一村の絵を見たときは、なんて官能的な絵をかく人だと思った。大胆な構図、豊かな色彩。「日本のゴーギャン」と言われるくらい、当時の画家にはない艶やかさがあった。でも一村がこのような画風になったのは、奄美大島へ移住してからだ。
一村は生前は美術界に認められることはなかったけど、奄美の自然に囲まれた生活は充実していたらしい。いろんな発見をしていたのが晩年の絵から見て取れる。奄美大島の豊かな自然は、眠っていた一村の感性を引き出したのだ。
一村にとって51歳は、非常に重要な転機だったと思う。千葉にいたままでは、貧困や出世欲などに苛まれ、本来の才能は開花しないまま人生が終わっていただろう。
そういえば、マイケル・ジャクソンが亡くなったのも、瀬戸内寂聴が出家したのも51歳。区切がつく年齢なのかな。とにかくやることやってきて、人生のゴールが見えてきて、やり残したことをやろうと本気で思った時に、潜在能力が開花するのかもしれない。
田中一村 「奄美の海に蘇鐵(そてつ)とアダン」1961年
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昨日書いた記事が抽象的で不完全感があったので、「子持ち様」問題についてもうすこし調べてみた。特に職場で子供のために急に休む人のしわ寄せが子持ちでない人にいくことが問題視されているようだった。
ネット上で子持ち世帯が批判される現象について、それが恋愛や結婚への消極的な風潮や社会的な価値観の変化、女性性の解放や新しい生き方の模索とどう関連しているかを探った。
教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。