2007年、東京国立近代美術館でこの絵を見た。大きな屏風絵だった。中央の黒い群集は、首を垂れてさまよう亡霊のようだった。彼らは神々しい光に包まれている。決して絶望の中にいるのではなく、どこかに必ずある真理の道へ探り歩いているようにも見えた。
「求法高僧東帰図」は、平山郁夫の初期の作品だ。遠い昔、中国の僧侶が仏教の教養を探究するため、国禁を犯し危険を顧みずに仏典を求めてインドへ旅した。彼らの険しい旅の足取りを絵画化することを試みたのは、平山自身が画家として果てしない道を歩んでいくために自身に課した闘いでもあったという。
私はこの荘厳な幻想美が好きだ。漆黒と黄金。これは「人間の苦悩」と「聖なる救済」のように思える。項垂れ迷い歩く人たちも神に見守られた存在なのである。人間であるが故の苦悩、煩悩にどんなに苦しめられようとも、そこには必ず光が降り注いでいる。穏やかな眼差しで人間を見つめる平山が捉えた「迷いの中にいるものは必ず救われる」という真理が、ここに込められているように思う。
平山郁夫 「求法高僧東帰図」1965年
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人間の苦悩と、聖なる救済。
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