娘に勧められてAmazon primeで見たのだが、初めは子供向けアニメかと思った。
戦争で人が斬り殺されるシーンもふんだんにあり、深夜アニメとはいえ視聴している子供の親から苦情が来そうだが、奥深いストーリーに毎回引き込まれている。
ボッス王国の第一王子ボッジは、巨人族を両親に持ちながらも小柄で、短剣どころか石すら持ち上げられないほどの非力だが、強さに憧れ王になることを夢見ている。
生まれつき耳が聞こえず口も聞けないため、国民から「王の器ではない」と蔑まれていたが、親友カゲと出会い、強さを得るための旅に出る。途中で森の魔物に食べられそうになったり、ボッジの護衛人に殺されそうになるなど様々な危機に見舞われるが、親友のカゲに助けられ、冥府の王や知恵者のサポートを得て、彼にしかない強さを身につけていく。
ボッジが美しいのは、「ろうあ者」という弱点に負けていないことだ。人は誰も、周囲から嘲笑され続けていると卑屈になり自暴放棄になってしまうものだが、ボッジは人をいたわり自分を差し出す心を決して失わない。可能性を信じてまっすぐに進む純粋さが様々な人の心を動かし、自身の運命を拓いていった。
この物語は、物事の表面しか見ない人の浅ましさや損得に囚われる人の愚かさ、我欲から解放されない人の悲しさと、その中で誇りを持って生きようとする人の闘いが強いコントラストで描かれている。
人は生きていくほど、汚れていく。情愛に出会い、嫉妬、裏切りを知り、渇望感を持ちながらも心を防衛して生きるようになる。物語の中でしばしば現れる仮面をつけた群衆が、周囲に同調するように残虐な行為をする様は、私たちの社会でもよく見られる風景であり、恐ろしかった。
どんな困難に遭おうとも真心を失わないボッジの強さが清々しい輝きを放つのと同時に、世間体や損得に心を揺さぶられた人たちが、自ら犯した罪を知り、少しずつ心を更正していく様子は、美しくも悲しく感じた。
本当の強さとは何か、人を信じるとはどういうことなのか。
我欲の悲哀を抱えた猛者を前にして、ボッジの小さな体は軽やかに動き、汚れのない目が急所を確実に見抜き、細い針のような剣で突く。ボッジの剣は「王の剣」として物語の象徴となっている。
まだ最終回は迎えていないが、楽しみな作品だ。
About TOMOMI SATO〜人生開拓アーティスト佐藤智美 プロフィール
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。
【個展開催のお知らせ】佐藤智美展〜INSPIRATION 会期:2024年4月10日(水)〜14日(日) 会期中無休 時間:11:00~20:00 ※4/10(水) 13:00-20:00 4/14 (日)11:00-16:00 場所:Gallery Klyuch (カフェle bois 2F)