深ぼってください、なんていう人ほど、あまり深ぼられたくない事情があるのだと思う。自分で蓋をして、見る勇気がないから、あなたが開けてください、みたいな。
美術展のレビューを最近書かないのは、自由に書いたらまずい雰囲気が漂ってくるからだ。それが有名な人であればあるほど、その傾向がある。作家とメディア共同でイメージを作り上げ、作品を販売しようとしているのに、戦略に合わないことを書かれたら都合が悪いのだろう。
私は一般人だから、美術品と素直に向き合う。感じたように書く。それが誠実だと思っている。だから、自分が良いと思わない展覧会のレビューは書かない。
著作者:pikisuperstar/出典:Freepik
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教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。
近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。
朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。
お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。
大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。