若者は皆、走っている。

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百貨店の展示が終わった。本当はもっと在廊するつもりだったのだけど、初日と2日目しか在廊しなかった。(告知した人には申し訳なかったです。)
詩集が一冊売れていたようだ。あと名刺がかなり減っていた。人が多い百貨店での展示で期待したが、人が多ければいいというものでもなかったな、と、いろいろ反省点はある。

搬入時にも思ったのだが、何日もここにいられそうもなかった。ポップアップイベントだったので、作家同士仲良くしましょう、と皆親和的だった。そして、今流行りそうなものを戦略的に売っていた。

私は自分の作品をどう売っていいかわからなかった。だから売る気満々のクリエイターに囲まれると、萎縮する。多く売って、生きていくことを考えるのは、真っ当だけど、売りたいが前面に出ている作品(商品)を見ると、なんだか落ち着かなくて、中央テーブルで他の作家とライブペイントなんてできなかった。

搬出時、11日ぶりに売り場に行ったら、作品に埃がかぶっていた。私が時々在廊していれば、埃を拭いてあげることができた。また自分の作品に申し訳ないことをしてしまったな、と思う。




昨晩、こんな夢を見た。
私がかつて働いていた広告会社に娘が勤めている。私がいた時の同僚たちはまだ在職し、50〜60歳になっていた。インターネットで社員が自由に意見を言い合ったり、それぞれの状況が簡単にわかるようになっていて、皆、寛容で優しかった。
娘や職場の仲間としばらく楽しくやった後、会社を出ようと思った。その時に娘が、「会社に、靴を返して欲しい、と言われた」という。そういえば私は靴を持っていた。久しぶりにそれを履いてみたら、底が薄くて歩き続けるには不安な黒い靴だった。私はその靴を、娘に渡した。



若者は皆、走っている。のんびり構えていたらエネルギーを持て余し、心身ともに腐らせてしまうから。自分が何者で、幸せがどこにあるか必死で探している。私だって高校、大学時代は、ご飯も食べないで12時間くらい描いていた。
でもあの時間、自分に集中していたために、とりこぼしてしまった幸せはたくさんある。もらえるはずだった愛や、得られるはずだった楽しさ。そんなに生き急がなくても、ちゃんと周りを見て感じていれば、手に入ったものだった。

人生はトリッキーだ。お金、人気、知識、ステイタス、衣食住、それが充分にないと、幸せになれないという思い込みは、本当に欲しいものを見失わせる。私が欲しいものはもっと単純なものだ。大人の知恵を身につけた人が、こんなことを言いたら恥ずかしい、と思うようなこと。でもそれは、皆が欲しいものを追いかけているうちは見えてこない。

どんなに時代が生き急いでも、私だけは、そういうことをちゃんと言っていかないとなと思う。誰かが道に迷った時に、それに気づかせてあげられるような、そういうものを作って、発信していきたい。



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Tomomi Sato

東京在住のアーティスト。理解しがたいものを理解し受け入れるために書いています。自由でスピリチュアルな風の時代に、私の気づきがお役に立てればと思います。

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