高値がつく「お宝」に宿るものは。

スポンサーリンク

「開運!なんでも鑑定団」という番組を見ていた。一般の人が家にあるお宝を鑑定してもらい、幾らの値段がつくかを見るというものだ。
一見落描きのような絵でも、作者が紹介され、どういう人生を送り、どのように作品が作られたのかを知ると、会場からため息が漏れる。その後、鑑定が始まり、本物であれば数百万円、贋作であれば、数千円と、値段に差が開く。
7桁の数字を見ると、「こんな落描きが?」と半信半疑の声もあれば、「やっぱ、天才の絵は違うねえ」なんて言葉も出る。

いつも違和感を持つことは、作者が明かされるまでは、多くの人が、その美術品を「ただの落描き」としか思わないことだ。作者の人となりを知って初めて興味が湧く。結局人は、人を知りたいんだなあと思う。

とても綺麗な皿とか、端正に作られた陶器なんかが鑑定に出てくることもあり、「綺麗!」とか「すごい!」という声は出てきても、なかなか「欲しい」という気持ちにはならない(注:「開運!なんでも鑑定団」は鑑定のみで、購入者を募る番組ではない)。作者を知ってから、所有欲が出てくるのは、作者が創作で磨いてきた精神性を、作品を通じて共有したいからだろう。

「美を感じる」ということは、購入者側にも作者に匹敵する精神性が備わっているからであって、精神性を磨いていない、そういう努力をしないことが当たり前の人たちには、ただの落描き、ガラクタにしか見えない。悲しいが、これは現実だ。

今後も美術品は、綿密なマーケティングをしない限り、馬鹿売れするということはないと思うのだけど、「大衆受けしない」ことをプライドに制作するのもいいかもな、と思っている。


余談だが、私は昭和の漫画が好きで、時々アマゾンで買い揃える。特に「あしたのジョー」は好きで、全巻本棚に並んでいる。何度も倒れては立ち上がるジョーの言葉は真理をついていて、困難に足を取られているときに、とても効く。元気の出ない時に、ジョーの名言を拾っては心の肥やしにしている。

1970年代に流行った少女漫画「キャンディ・キャンディ」の小説版は、大人になった主人公キャンディが若かりし日々を回想する物語だ。図書館で読んだが、アニメや漫画では描かれなかった登場人物の日常や心の機微が丁寧に描かれ、恋愛や人間関係に迷ったときに、よく効く言葉がたくさん詰まっている。是非とも購入したいが、希少なものとなった今では、アマゾンでは上下巻セットで数万と高値だ。

先行き不透明な現代では、消費に消極的になりがちだが、本当に価値があると思うものは多少高値でも購入したい人は多い。モノが溢れる今、本当に好きなもの(今風の言葉で言えば「推し」)を選び、一緒に暮らしたいと願う人が増えているからだと思う。

何に精神性を感じるかは人それぞれだが、「推し」との出会いは、未知の自分を知る機会でもある。誰もが自由に発信できる時代、市場に出会いはいくつも転がっている。アンテナを張って探してみるもの面白い。

言葉とアートで人生をブレイクスルーするフリーランス画家 佐藤智美」メルマガ登録はこちら

【TOMOMI SATOS ART WORKS】https://www.ts-artworks.com
【TOMOMI SATOS ART】https://artworks2017.thebase.in
【TOMOMI SATOS ART BLOG】https://tomomiart.tokyo

スポンサーリンク
Tomomi Sato

東京在住のアーティスト。理解しがたいものを理解し受け入れるために書いています。自由でスピリチュアルな風の時代に、私の気づきがお役に立てればと思います。

Recent Posts

呼吸が止まる時。

空を仰いでいる若者は、勢い余って崖から落ちそうだが、彼の顔には不安も恐怖もなく、好奇心でいっぱいだ。崖から落下するか飛ぶか、可能性は未知数だ。

7 hours ago

「陽キャラ」と「陰キャラ」。

教会で牧師さんと話していて、「ほとんどの人は欲でものを言い、動いていますね。愛って、あってないようなもの」と私が言ったら「大半の人は反射神経で喋っています。愛とか思いやりとか、深く考えない」という返答が返ってきた。

1 week ago

地に足をつけて、天を見上げる。

近頃周りでも、定年を迎えた夫婦の家庭問題や健康、金銭問題の話を聞く。生活レベルを落とした時に表出するいろいろな問題に誰もが諦観的なのは、老いて体が動けなくなってからでは打つ手がないからだろう。

2 weeks ago

変わっていくものと、変わらないもの。

朝起きると、和室の茶色い柱と漆喰の壁が目に入る。ちょうど私が結婚した27年前も同じものを見ていた。いつも彼と一緒にいた。そうすることでやっと生きていた自分は目に映るものがとても新鮮だったことを思い出した。

4 weeks ago

鴨居玲の自画像〜自分の闇を見つめる

お宝鑑定団で初めて鴨居玲という画家を知った。ゴッホと同じ自画像作家として有名だが、幽霊のようなピエロのような自画像を見ていたら、目を背けていたものにまざまざ向き合わされたようだった。

4 weeks ago

「人」を愛する。「間」を愛する。

大切なものは「その人」を語る。距離が近くて言いたいことを言い合い傷つけあった人たちにも、大事にしているもの、楽しみにしていることがあった。向き合った時の言葉や顔色だけでなく、周辺まで見ると、一個人が立体的に見えてくる。

1 month ago