「思春期」をテーマに描いた連作。後日紹介する「愛」と対になる作品。背後から抱きつく老婆は、少女を慈しむあまり、肩に噛みつき、乳房を鷲掴みにしている。少女は傷から流れる血の暖かさと、乱暴な他者の手に驚愕する。
今まで直視できなかった感情に真摯に向き合おうとして、この作品が生まれた。余計なものを削ぎ落とし感情だけを見つめていくと、遠い昔、他者との関わりの中で感じた痛みと絶望感が蘇った。背景の、砂の混ざったアクリル絵の具と滴る絵具の汁のマチエールは、悲しみと恐怖と焦燥の中で、彼女の魂が生死の瀬戸際にいることを表している。
この作品を見た人の多くが「怖い」と言った。モデルの顔を見て「アジア系の女の子ですか?」と聞く人がいた。アジアで人身売買の犠牲になる少女たちがいることに心が痛んだ。ネガティブな印象の絵だが、見過ごされている感情を訴えることができたと思う。



佐藤智美 妬 74.3×60.2cm 色鉛筆・アクリル絵の具・CG/紙 2014 購入はこちら→ 

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