小学校時代に、母と一緒に行った美術展で見た。佐伯祐三の絵は母が好きで、確かこの展覧会の後、アートグッズを買ったのを覚えている。
小学生の時、母に連れられて美術館で見た。大きな画面に広がる青に、深い水の優しさを感じた。
クリムトの描くエロスとエモーションは、麻薬的だ。痩せて骨張った女性像は、やや即物的な感じがするが、画面を構成する曲線や装飾が、幻想的に仕上げている。
次作の資料を探してネットを漁っていた時に見つけた逸品。農夫たちが溶け込む赤い葡萄畑。燦々と輝く太陽の黄色は水面に反射し、世界を輝かせている。
歳を重ね体力が衰えると、単身で未知の土地に移り住むのは勇気のいることだ。家族や子孫に助けてもらいながら余生を過ごしたいと思う人が多い中で、一村にこのような決断をさせたのはなんだったのか。
私は、単身の女性像より群像が好きだ。二人、三人で寄り添う女性たちは互いをいたわり支えあっているようで、遠い昔になくしたものを思い出させてくれる。
心理学の授業で、「自分の空虚は自分でしか満たせない」と学んだ。しかし、多くの人は外的なことに期待していて、「自分を満たす」ってどういうことなのか知らない。だから、ある程度年齢が過ぎると「もう私には幸せなんかないわ」なんて言う人がいるのだ。
大胆な構図、豊かな色彩。「日本のゴーギャン」と言われるくらい、当時の画家にはない艶やかさがあった。でも一村がこのような画風になったのは、奄美大島へ移住してからだ。
ふと今まで会ってきた、笑顔の人を思い出した。きついことを言われて傷ついた人をちゃんと見ていて、優しい言葉をかけてくれる人。そういう人のおかげで、コミュニティは潤滑に回っている。
私は桜が好きだ。毎年春になると、家族と共に桜の木下で弁当を広げるのを楽しみにしている。