「生と死」について考える(1)

高校時代、美術室で先生と話していた時に、ムンクが好きだと言ったら、「あなたくらいの年齢の人は、ムンク のようなこと考えるから」と言われ、がっかりしたことがある。何よ、大人になったら考えないの?と、本気で思った。
強烈に生と死を印象付けるその作品は今も多くの人に愛されているが、ムンクが考えていたことを真から理解するには痛みが伴う。なぜなら、私たち人間の根本的問題だからだ。
あの名画「叫び」をパロディにした「叫びちゃん人形」が発売されていたのも、「人間を直視するのは大変だよね、もっと楽しんでいいんですよ」というメディアの戦略だ。
なんかなあ、と思う。
ムンク の「思春期」のモデルになっている裸の少女は、背後から忍び寄る影に怯えながら画家を見つめている。自分を見られるのを拒んでいるかのようだ。背後の影は「本能」。聖か邪かわからない、使い方を誤れば自分を殺しかねない力を、どう扱えばいいかわからず怯えている。

多くの人は、嫌なことは見ずに楽しく生きたいと思っている。でも、ムンクが考えていた生と死の問題は、現代にも引き継がれている。この問題をちゃんと考えることができれば、愛憎による悲惨な事件も起こらないのになあと思う。
晩年のムンクは、太陽や自然のもとに労働する人々を描いて、青年期に忌み嫌っていた力を然るべき方向へ導いた。でも、青年期の作品に比べて精彩を失った。

「どんなに懸命に絵を描いても、無名のままで死ぬなんて虚し過ぎますよね」貧困の末に若くして死んでいったゴッホや、生きることに苦しんで絵を描いたムンクについて先生に話したら、先生はこう返した。
「ムンク はともかく、ゴッホは幸せだったと思うよ。彼は確かに早く亡くなったけど、一生懸命幸せを求めて生きたと思うから」

エドヴァルド・ムンク  思春期 1880-1895


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