宇佐見りんの「推し、燃ゆ」を読み終えた。21歳の若手作家が書いた芥川賞受賞作。「推し」という言葉が今っぽい。私の娘もアニメキャラクターの「推し」を熱心に愛でているので、「推しを愛でる」という気持ちがどういうものか興味があった。
しかし「愛でる」という行為は、アニメだろうと、アイドルだろうと、勉強だろうと、スポーツだろうと、大差ないのでは、と思った。「命をかけて何かに取り組む」という行為は、時には外界との関係を壊したり自分を傷つけたりするけれど、それを通過することで、己が何者であるか、己の生き様がどんなものであるかを発見し受け入れることができる。
この物語の中で語られているのは、全身全霊で生きる証を感じることの凄まじさと虚しさだ。
私は青春時代にアイドルに夢中にはならなかった代わりに、「受験勉強」に全力を傾けた。切実に勉強がしたかったわけではないが、私を作り上げる第一歩として、そばにあったものが勉強だったからだ。全力を傾けたからと言って、望むものが得られたというわけではなかった。しかし全集中したことは、経験と知識となって確実に私の中に蓄積された。
大人になればなるほど、自分を追い込んで何かに取り組むことはできなくなっていく。それは安全な日常を送ることへの障害になることもわかってくるから。だからこそ、この物語に描かれた推しへの愛おしさが、とても神聖なものに感じられる。若い時代にしか持ち得ない勇気とひたむきさがあり、胸が締め付けられた。
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