芸術家たるもの、魂から絞り出さないと作品は生み出せない、と無意識に思っていた。でも魂がどこにあるのか、絞り出したものがなんなのか、少し疑問を持って見つめる必要がある気がした。
人間性と芸術を結びつけて考えるようになったのは多感な高校時代からで、作品制作の全てがそこから起因していたので、人間性と切り離して創作するなんて想像できなかったし、そのような仕事をする人も理解できなかった。それくらい私は真面目だった(笑)。
体に回るエネルギーに従って描いていると、そのエネルギーは真っ直ぐに観る側に届く。頭で考えることに力を入れると、絵が重たくなり色彩も沈んでいく。
年老いた両家の親と電話で話すと、自分の30年後を想像せずにはいられない。夫がいなくなって、娘が自立して、体が衰えた私が一人になった時。私に何が残っていて、何が見えているだろう。
15歳から30歳くらいまで私が40冊以上のノートに書きためていた詩篇を編集し、フリーランスになって間もない2001年に記念出版した。「運命のプロローグ」という題名には、まさに自分で人生を歩み出すまでの困難な道のりをしたためた。
W杯で日本がスペインに勝利した。ランキングでは圧倒的に有利なスペインだったので、私は「ミラクル」と思ったけど、後でスポーツ記事を読んで「ミラクル」というのは失礼だと思った。