女らしさと清純さ。

小学校4年のとき名古屋に住んでいた。家のすぐ近くに一水会の画家の先生がいたので、時々描いた絵を見せに行っていた。先生の家は、町内でも大きく目立つ家に住んでいた。呼び鈴を鳴らすと、上品で美しい奥さん(当時は多分60歳超えていたと思うが)が迎えてくれた。
藤島先生の家でこの絵を見たとき、肌を肌色で描いていないのに驚いた。画面の中で、これだけたくさんの色を使っているのに、なんできちんと人間に見えるのだろうと思った。

天井が高く大きなアトリエに、先生はいつもいた。巨大な絵画がたくさん置かれていて、先生はイーゼルに立てかけられたキャンバスに、ナイフを使って絵具をつけたり削ったりしていた。先生の周りには、たくさんの絵具と筆があり、それらを使って、パレットの上で注意深く絵具を作っていた。その様は、絵を描くというよりも、もっと大がかりな仕事のように思えた。私が自分の絵を見せると、優しく笑って、「絵心を忘れないでね」と言った。

家に帰って、先生のやっていたように、肌を描くのに肌色を使わず、緑や紫やオレンジなどをナイフで塗ってみた。でも先生のように上手くいかなかった。思ったより絵を描くことを難しく感じた。

今になって思うが、9歳の子供が64歳の画家の絵を真似しようとしても、流石に無理だと笑ってしまう。だって先生は、何十年も女性を描き続けて、あのような画風になったのだろうから。柔らかい土色の頬と、背景や着物の荒いマチエル、爽やかな赤白青のコントラストで、舞妓の女らしさと清純さを伝えられるのは、鍛え抜かれた感性でそれをしっかりと捉えることができるからだ。


藤島 奨 「舞妓」100×80cm 1964


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